BLOG|矯正の本音

矯正歯科に関する正しい知識や情報のご提供、医院の活動のご報告などを連載していきます。

1970.01.01

セルフライゲーションブラケット

メープル矯正歯科の山口です。

セルフライゲーションという矯正治療方法をご存知でしょうか。近年では多くの矯正歯科医院で採用されるようになった治療方法で、矯正装置としても各矯正材料メーカーから多くの種類が出ています。その中でも有名なのが「クリッピー」や「デーモンシステム(デーモンシステム)」と呼ばれる矯正装置で様々な矯正医院のホームページで目にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。



本来矯正治療はブラケット(矯正装置)に矯正用ワイヤーを結紮線と呼ばれる細い針金や小さい矯正用の輪ゴムで括り付けて歯をコントロールしていきます。


それに対してこのセルフライゲーションはブラケットにシャッター、あるいはクリップタイプの蓋を付けることで結紮の代用をします。結紮タイプと違い、矯正用ワイヤーを抑え付けることがないため、摩擦力が軽減して歯が早く動かせたり、弱い力で矯正治療ができ、診療時間の短縮が可能という利点があります。そのため、痛みの軽減なども注目されました。

上に書いたクリッピーというブラケットはクリップタイプの蓋がついていて、デイモンシステムはシャッター構造になっています。基本的にどちらも矯正用ワイヤーを強く押さえつけることはありません。

結紮タイプとセルフライゲーションではどちらが良いか、矯正専門医の間でも意見が分かれるところですが、矯正装置単体だけではなく矯正用ワイヤーとの組み合わせが肝心であるということも大切なポイントです。カッパーナイタイなど最先端の材質で出来た弱く持続的な力を発揮する矯正用ワイヤーとセルフライゲーションの組み合わせで、歯根吸収のリスクが低下するとの報告があります。歯は造骨細胞と破骨細胞というものが歯根において押す側と押される側でそれぞれに働き、歯根の吸収と再生を繰り返し移動していきます。そしてその各細胞を正常に働かせるには血流を妨げないというのが必須になります。セルフライゲーションのブラケットと、弱い力のワイヤーとで歯周組織に過度の力を加えないことにより、造骨細胞と破骨細胞の働きを正常にし、歯根吸収リスクを軽減できることにつながってきます。

今回セルフライゲーションについて書きましたが、そうは言っても最も大切なことは正確な診断と矯正医の技術だと思います。結紮タイプであっても歯根吸収させないように治療できる矯正医もたくさんいらっしゃいます。結紮線で結ぶ従来の方法であっても結紮の強弱によってセルフライゲーションの効果も得ることができます。セルフライゲーションでの治療においては「治療期間短縮」「痛みがない」「非抜歯」といった言葉も大体セットで出てきます。しかしあくまで患者さんの状態や診断する矯正医によるので、ご自身の不正咬合の状態などをしっかりと診てもらったうえで選択していくことが最善かと思います。