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CLINIC
院長ブログ
2019.1.30
拡大床(かくだいしょう)について

こんにちは。
メープル矯正歯科の山口です。

今回は、お子さまの矯正治療で用いる拡大床についてお話していきたいと思います。

拡大床という言葉を聞いたことが無いという人も多いかと思いますが、これは矯正装置の一種です。上顎の歯の裏側に装着するもので、歯列の幅(顎の幅)を広げる時に使うものになります。

ではこの拡大床を使用するメリットを紹介していきます。

■非抜歯(歯を抜かない)治療の可能性
お子さんの矯正治療の際に、骨の成長の余地が大きく残されていると、歯列の幅を拡大しやすくなります。そうなると歯列全体の歯が並ぶスペースを確保しやすくなるので、非抜歯(歯を抜かない)で治療を行うことができる可能性が高くなることもあります。

■目立ちにくい点
拡大床は歯の裏側に装着する装置で、患者さま自身で取り外しが出来ます。お子さんで学校に付けていくのが恥ずかしいから嫌だと言われる場合も、帰宅後から翌朝登校するまでの時間装着するということも出来ます。ただ、症状の程度によってはもっと装着時間を長くしていただく必要もありますので、全員が同じではないということはご理解ください。

この様に書くと、すごく優れた装置だと思われがちですが、安易に拡大床を使用したことによるトラブルも多く発生しています。「治療費が安くて済む」「確実に非抜歯で治療を行なえる」などの宣伝を見て治療を行ったが、上手く治らないというトラブルが主たるものだと聞いています。

矯正治療というものは、弱い力を持続的に掛けることによって骨の吸収と再生が繰り返され、歯が動いていきます。そのことを考慮せずに拡大床で安易に力を掛けてしまうと、歯列の幅が広がるのではなく、歯の先端だけが外側を向いてしまうこともあります。いわゆる上顎前突(出っ歯)、鋏状咬合(歯がすれ違って噛む)の状態になってしまうので、不正咬合の状態が悪化してしまう結果にも繋がります。

どの様な装置にもメリット・デメリットはありますので、しっかりと患者さまの口腔内の状態を把握し、使用する材料を選択することが大切です。ご希望の装置を使用できないという場合もありますが、無理に装置を使ったことが原因で上手く治療が進まないという方が問題ではないでしょうか。もちろん可能な限りご希望には沿うように治療計画を考えてはいきますので、その点はしっかりと相談させていただきたいと思います。