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CLINIC
院長ブログ
2019.5.3
Ⅰ期治療とⅡ期治療の違い

こんにちは。
メープル矯正歯科の山口です。

今回は、矯正治療においてⅠ期治療(いわゆる子供の矯正)とⅡ期治療(いわゆる大人の矯正)という言葉を使うのですが、その意味や違いについてお話していきたいと思います。

まずこの違いを説明する前に、歯の種類として乳歯と永久歯があることについて少し確認しておきます。乳歯は3歳ごろから生え始め、6歳前後で生え揃います。

その後、混合歯列期という乳歯が抜けて永久歯が生えてくるという乳歯と永久歯が両方口腔内に存在している時期に入ります。

そして12歳頃に全ての歯が永久歯に生え変わるとされています。混合歯列期では上顎の骨の成長が大きく見られ、その後永久歯に生え変わってからは下顎の骨が追いかけるようにして成長してきます。

では本題に戻りますが、永久歯が生え揃うまでの乳歯から混合歯列期に行なう骨の成長期での治療をⅠ期治療(小学校低学年頃)、骨の成長がある程度終わった永久歯列期に行なう治療のことをⅡ期治療(小学校高学年以降)と言います。

■Ⅰ期治療
Ⅰ期治療では主に、これから生えてくる永久歯がしっかりと生えるためのスペースを確保するための治療が行われます。顎の骨の成長がうまく進んでいない患者さんに対して骨の成長を促す治療を行ったり、乳歯が正常な位置ではない場所にあり、永久歯が生えてくるのを阻害している場合などはその原因を取り除く治療が考えられます。矯正装置としては、骨を広げてあげるための拡大床や、ブラケット・ワイヤーなどのものが使用されることがあります。

■Ⅱ期治療
Ⅱ期治療では、骨の成長が終わっている成人患者さんが中心になるため、拡大床などの骨の成長を促す装置を使用することが難しくなります。そのため、親知らずや小臼歯を抜歯して歯が並ぶスペースを確保したり、各歯の側面を少しずつ削ることによってスペースを確保することが考えられます。奥歯の後ろに余裕がある患者さんでは、歯列全体を後ろに移動して治療することもあります。主にブラケットやワイヤー(いわゆる針金による矯正)です。

その為、抜歯・非抜歯の基準などは患者さん毎の歯列の状態や不正咬合の具合によって違います。スペースを簡単に確保できるから全員抜歯を行なうということはありませんし、非抜歯をご希望の患者さんでも状態によっては抜歯をお勧めすることもあります。きちんと患者さん毎の検査・診断を行なった上で、メリット・デメリットをしっかりとお伝えしていますので、理解してから治療指針を決めていただけたらと思います。

この様にⅠ期治療とⅡ期治療は時期や内容が異なり、関係性があまり無いように思われるかもしれませんが、Ⅰ期治療でしっかりと治療を行っておくことによってⅡ期治療の必要性や非抜歯での治療の可能性が変わってきます。気になる点がある場合は、その時に考えられる治療やサポート方法などをしっかりとお伝えさせていただきますので、お早めに相談していただけたらと思います。