BLOG|矯正の本音

矯正歯科に関する正しい知識や情報のご提供、医院の活動のご報告などを連載していきます。

2016.02.08

歯と健康に関する意識調査

メープル矯正歯科の山口です。

前回は審美に関する意識調査に関してご紹介しましたが、今回は歯と健康に関する意識調査を見つけたのでご紹介いたします。

前回、最後に見た目の審美だけでなく健康面まで含めて歯列矯正には価値があるということをお伝えしましたが、今回はそんな歯と健康の関連性についての認知度がどれくらいあるかというデータになります。前回同様、日本臨床矯正歯科医会が行った調査で、この結果を見てみるとだいぶ歯並び、噛み合わせと健康のつながりが認知されてきていることがわかります。

■不正咬合から起こるトラブルはどういったものがあると思いますか?

不正咬合からくると思うトラブルは? 

1位 顎関節症:56.8%

2位 齲蝕(虫歯):54.7%

3位 歯周病:44.7%

4位 発音障害:39.8%

5位 顎変形症:37.5%

6位 口臭:28.2%

7位 ドライマウス:15.2%

他にもいろいろな弊害があると思いますが、みなさんはいかがでしたでしょうか?

1位の顎関節症は半分以上の方が認識あるようで、実際に診断をすると歯並びだけでなく噛み合せから顎関節症のリスクも見えてきます。また顎関節症から肩こりや頭痛といった問題につながることも多く、歯列矯正を終えられた患者さんから肩こり、頭痛の改善につながったという喜びの声を聞くこともあります。

2位の齲蝕と3位の歯周病に関しては、特に叢生(デコボコ、乱ぐい歯、八重歯)から磨き残し、そしてそこから齲蝕、歯周病へつながる可能性があります。

上顎前突(出っ歯)や下顎前突(反対咬合、受け口、しゃくれ)、オープンバイト(開口)などの比較的重度の不正咬合の場合は4位の発音障害につながってくるのは容易に察しが付くかと思います。

また気を付けたいのは同時に幾つかのトラブルが発生することもあるということです。例えばオープンバイトの場合は発音障害だけでなく口腔内が乾燥しますので、ドライマウスになりやすく、唾液の自浄効果が下がる為齲蝕になるリスクも上がります。

そのため、見た目の改善に矯正治療をされた患者さんが、ご自身で気づかなかったメリットに後から気づくことも多々あります。矯正治療をすることで、多くの方の健康維持までつながればと思います。

2016.01.20

審美に対する意識調査

メープル矯正歯科の山口です。

今回は日本臨床矯正歯科医会が1000名を対象に行った、審美に対する意識調査についてご紹介していきたいと思います。

最近では就活や結婚などの人生の転機において、矯正治療を行いたいという方が増えてきているように感じられます。そういった意識と関連してくるところではあるのですが、このデータでは実際に審美面に対する金額をいくらならかけられるかという調査になっております。

■今よりも美しい歯、美しい肌を手に入れるために幾らまでならお金をかけられますか?

女性の方なら感覚を掴んでいただきやすいかと思いますが、肌の美容にかけられる金額が上のグラフで表されています。同様に、歯の審美面にかけられる金額が下のグラフとなっております。ご覧いただいてもわかるように、歯の審美にかけられる金額は肌の美容と同等かそれ以上かけられるという結果となりました。これは少しずつ矯正治療が皆さんに理解いただき、広まってきている結果ではないかと思います。

また、今までお伝えしていますように、矯正治療は審美面以外にも上顎前突(出っ歯)や下顎前突(しゃくれ、反対咬合)などを改善し、咬合関係を揃えることによって顎にかかる負担を減らしたり、発音などが改善されるなど、健康面にとってもとても大切な治療です。この様に、審美面のみならず、健康面含めてメリットのある歯列矯正治療を検討してみてはいかがでしょうか。当院では、治療方法や金額、治療期間も含めてカウンセリングを行っておりますので、一度今の思いや疑問点などございましたらお気軽にお問い合わせいただけたらと思います。

2016.01.19

ブラックトライアングル

メープル矯正歯科の山口です。

今日はブラックトライアングルに関して書いてみようと思います。ブラックトライアングルはあまり耳慣れないかもしれませんが、多くの成人の方に見られる歯の状態で、歯茎の退縮によって歯と歯の間に三角形の隙間が出来ることを言います。

矯正歯科治療後のブラックトライアングル

矯正治療前は捻転(歯がねじれている)や叢生(デコボコ、乱ぐい歯、八重歯)がありますので、この歯茎の退縮は目立ちません。いざ歯列矯正をして歯並びが綺麗になると、歯茎の退縮が目立ちますので、突然現れたと間違われる患者さんもいらっしゃいますが、決して治療に失敗して出現するものではありません。また、歯茎の退縮に関しては年齢と共に進みますので、治療してから後からブラックトライアングルが出てくる可能性もあります。

矯正歯科治療前(正面) 矯正歯科治療前(下顎)

このブラックトライアングル自体には特別害はありません。強いて挙げるなら食べ物が挟まりやすく、齲蝕(虫歯)から歯周病につながる可能性があるという点です。ブラックトライアングルをなくす方法としては歯と歯がぶつかる部分を削り(ストリッピング、ディスキング)、歯の隙間を埋めることもできますが、上下のバランスを考えるとしっかりと診断する必要はあります。

歯列矯正後にブラックトライアングルが出るかどうかは初めの診断である程度わかるので、気になる方は矯正専門医に確認してみてください。

ブラックトライアングルに対する対策としては、やはり一番は原因となる歯茎の退縮を抑えることだと思います。年齢によるものはどうにもなりませんが、日々のブラッシングを丁寧にすることで、歯茎を健康に保ち、退縮を遅らせることにつながります。また食事の際によく噛むということもとても大切になります。

矯正歯科治療の前後比較

歯と歯茎を健康に保つために、矯正治療を行う患者さんも最近ではとても増えてきています。叢生(歯の凸凹)だけでなく、上顎前突(出っ歯)や下顎前突(反対咬合、受け口)のような噛み合せに問題がある場合に歯周病につながる可能性が上がるというデータもあります。

ブラックトライアングルだけでなく、様々な健康の観点から矯正治療に関してお伝えしていければと思います。

2015.12.19

保定装置期間の役割

メープル矯正歯科の山口です。

歯列矯正の全治療期間は、大きく動的治療期間と保定期間に分けることが出来ます。みなさんが初めにイメージする矯正治療は、歯に矯正装置とワイヤーを付けて歯を動かすものではないでしょうか?実は矯正には歯並びを整えた後の保定(後戻りを予防する)装置を装着する大事な期間が存在します。

保定期間はマウスピース矯正や、舌側矯正(裏側矯正・リンガル)などような矯正治療にも必要な期間であり、必ずその期間を皆さん経験されます。もしも保定期間にしっかりと保定装置を付けないと、歯並びが元のように戻ってしまう可能性があります。保定装置は『リテーナー』と呼ばれることもあり、床型リテーナー、マウスピース型や歯の裏側にワイヤーを直接付けるなどいろいろな方法があります。(どのような種類があるか矯正専門医やスタッフの方に聞いてみると良いでしょう)

透明マウスピース
透明マウスピース

固定式リテーナー
固定式リテーナー

床型リテーナー
床型リテーナー

歯の移動、いわゆる動的治療を終えた後になぜ保定装置を付けなければならないのでしょうか?それは人体の優れた能力が故に起きてしまう副作用のようなもので、『恒常性』という作用があります。簡単に言うと変化の後に元に戻ろうとすることです。例えて言うと、短期間でダイエットを行うとリバウンドしやすいのと同じです。矯正治療も同じで、長年の環境や習慣によって出来上がった状態(歯の位置や舌癖、噛み方)を変化させようとすると恒常性が働き、動的治療終了直後は治療前の状態に戻りやすい状態になります。それを防ぎ、矯正した歯並びの状態を新しい歯並びであると体に認識させる、それが保定期間の大きな目的になります。

動的治療期間は、歯に矯正装置とワイヤーが付いているためいつでも力が働いている状態ですが、保定装置の中には取り外し可能なものもあり、それを選択した場合は患者さん自身でしっかりと保定装置を装着することが重要になりますので、取り外す際は食事や歯磨きが済んだらすぐに装着するようにしてください。

保定装置を使用したら必ず後戻りしないと言い切れませんが、きれいになった歯並びを少しでも長く保つために、保定装置期間がとても重要であることをぜひ知っておいてください。

2015.12.18

8020運動:予防と矯正の関係について

メープル矯正歯科の山口です。

今日は予防という観点から歯列矯正について考えてみたいと思います。

「8020運動」というものを聞いたことはありますでしょうか?1989年に厚生労働省が提唱し始めた運動で、80歳までに20本の自分の歯を残そう、そのために日々のデンタルケアを大切にしましょうというものです。本来成人の歯は全部で28本(親知らず含まない)あり、齲蝕(虫歯)や歯周病で抜けてしまい、20本以下になってくると食事を楽しむことができなくなるといわれています。

この8020運動が開始された当初は、8020運動達成者、つまり80歳以上で自分の歯が20本以上残っている人の割合が、8.2%だったそうです。そして80歳以上の方の平均残存歯の数はなんと4.5本。ほぼ自分の歯で食事をすることはできない時代でした。

そんな中少しずつ8020運動が浸透してきて、日々のブラッシングに気を付ける方が増えてきたり、歯ブラシや歯磨き粉の進化などもあった結果、2014年歯科疾患実態調査では38.3%まで来たという嬉しいデータが発表されました。

更に、8020運動の達成者の中には、著しい不正咬合(出っ歯、受け口、デコボコなど)がなかったということが東京医科歯科大学の研究で明らかになったそうです。先に書いたように歯磨き自体の質が上がったこともありますが、この研究から見るとやはり歯並び、噛み合わせに問題があると、ブラッシングが行き届かず、齲蝕から歯周病、抜歯へとつながっていくことも見えてきます。

また、開咬(オープンバイト)の場合は唾液による自浄効果もさがってしまい、齲蝕の可能性が高くなってしまいます。

矯正治療は多くの場合見た目の審美的改善を求められるのですが、こういったデータからもわかる通り、予防という観点でも歯列改善が大きな価値かと思います。

2015.12.13

何歳まで矯正治療を受けられるか?

メープル矯正歯科の山口です。

「何歳まで矯正治療を受けられますか?」という問い合わせを受けることがあります。小児矯正に関して、早いうちから歯列矯正をした方がメリットあるという 話は色々なところで目にするようになりましたが、逆に年齢を重ねていった場合はどうでしょうか?最近は成人の方の矯正治療もかなり増えてきているので、こ の点に疑問を持っている方も多いのではないでしょうか?「いまさら矯正する年齢じゃないですし・・・」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。




結論からいうと、【年齢制限は特にない】と考えます。当院でも60歳過ぎてから治療をしたという方もいます。年齢制限はありませんが、口の中の状態によって難しさがでてくることはあります。


まず歯の動きから見ていくと、この疑問に対して答えがわかってきます。矯正治療は歯にブラケットと呼ばれる矯正装置を付け、正しい歯列の形をした金属のアーチワイヤーを通し、ワイヤーが本来の歯列の形状に戻ろうとする力を利用していきます。


外から見えない部分ですが、歯の根っこ(歯根)という部位が歯茎、歯槽骨(歯が並ぶの土台部分である顎の骨)の中に埋まっています。歯がワイヤーの力に 引っ張られて動こうとする際、この歯根が歯槽骨にぶつからないように破骨細胞という細胞が歯槽骨を溶かしていきます。これを「吸収」と呼びます。そして吸 収が行われているのと反対側の歯槽骨では骨芽細胞という細胞が歯槽骨を生み出していきます。これを「再生」と呼んでいます。つまり、歯列矯正の歯の動きと は、歯槽骨の「吸収」と「再生」によって動いているように見えているということになります。



矯正治療を受けられる年齢制限はありませんが、この吸収と再生がきっちりできる状態である必要はあります。とはいえ突然この吸収と再生がストップすること はなく、代謝の速度が少しずつ下がってくることで、年齢が高くなっての治療はトータルの矯正治療の期間が長くなる可能性は出てきます。

年齢を重ねていくと、歯周病という問題があります。矯正治療が全くできないことがあるとすると、この歯槽骨がすでに溶けてなくなっている場合や、歯槽骨に問題がある場合、ほとんどの歯が歯周病などで抜けている場合などが考えられます。


歯周病以外にも重度の上顎前突(出っ歯)や下顎前突(反対咬合、受け口、しゃくれ)などは、場合によって外科手術が必要になるので、手術の回復力などが年齢的なハードルになる場合もあります。


たしかに年齢が若い方が歯周病のリスクが少なく、歯はスムーズに動いてくれます。
しかし矯正は年齢に関係なく、思い立ったときにするべきと考えています。いわゆる「善は急げ」ですね。若年者と比べると不利な面もありますが、日々の口腔内のケアと定期的な歯周病の管理をしていれば、年齢に
関係なく、矯正治療ができます。

8020運動の調査結果にもありますが、日々の歯磨き、クリーニングなどはとても大切な要素になってきます。常に口腔内のケアをすることで、いざ矯正治療を受ける際に問題なく進められるだけでなく、そもそも歯列矯正を必要としないことにつながるかもしれません。

2015.11.26

ニューヨーク大学矯正コース

メープル矯正歯科の山口です。

すでに一年くらい経ちましたが、昨年の11/20~11/25までニューヨークで、ニューヨーク大学の短期矯正コースを受講しました。2年コースの最終講義でした。

今までは講義中心だったり、コルチコトミー(顎の骨に外科的に切れ目を入れて、歯を早く動かす手法)の実習だったりでした。
最終日の内容は矯正治療に関する講義と自分の症例(2症例)の発表でした。

初日と2日目は講義でした。講師はニュージャージー州で開業しているエプスタイン先生で、小児矯正から成人矯正までの幅広い講義でした。

3日目と4日目はそれぞれ受講生各自の症例発表でした。久々の症例発表で膝の震えがとまりませんでした。でもなんとか無事終了しました。


無事にニューヨーク大学の卒業証書ももらい、卒業となりました。


症例発表に加えて、論文も提出しなければなりませんでした。今回は、裏側矯正(インコグニート)のメカニズムについてまとめました。症例発表の論文はいろいろと発表しましたが、症例発表以外の論文は、北海道大学の大学院以来でした。少々、寝不足の日々が続きました。

無事に卒業でき、ホッとしています。