こんにちは。
メープル矯正歯科の山口です。
今日は子供の矯正治療でも比較的多くの相談を受ける下顎前突について書いてみます。
下顎前突は、反対咬合、受け口、しゃくれ、と色々な呼び方がありますが、実は、下顎の第一大臼歯(奥から2番目の歯、親知らずを入れると3番目)が上顎の第一大臼歯よりも前方にずれている症状のことを言います。正確に言うと、第一大臼歯の位置関係の問題なので、下顎前突にもかかわらず、下顎がイメージするように前に出ていないというケースもあります。
8020運動(80歳までに20本以上の歯を残す)の達成者の中に反対咬合の患者さんがいなかったという歯科大学のレポートは有名ですが、見た目だけでなく、それ以上に噛み合わせ、咀嚼の問題、消化吸収の問題など多くの健康に影響する状態であるということもわかっています。
まず、下顎前突にはいくつか原因が考えられます。
下あごが急成長した、あるいは逆に上あごがうまく成長しなかった(劣成長)など、骨の成長に関係する「骨格性下顎前突」や、下の歯が前に倒れて生えていて、食べ物を噛む度に下顎を前に押し出す力が働いてしまうことによって下顎前突になってしまうという「機能性下顎前突」があります。
小児矯正で来院される患者さんの多くは上顎劣成長が原因で、その更に原因を検査していくと、遺伝の場合、日々の癖などが挙げられます。日々の癖とは、上唇を噛む癖があったり、舌癖によって下顎を前に出してしまうなどがあります。
今日のテーマ、「下顎前突を放っておくことのリスク」について考えてみると、様々な問題につながってくるのが見えてきます。
まず、放っておくと悪化する可能性が高いのが下顎前突です。上に書いた機能性下顎前突だとイメージしやすいのですが、下あごが前に出ている状態を放っておくと、食べ物を噛む度、力を入れる為に歯に力を入れる度、下あごを上あごが押し出す力が働き、症状が悪化していきます。
下顎前突の症状が悪化すると更に健康や日々の生活に支障をきたしてしまいます。まず発音です。上下の前歯が噛み合うことがなくなり、特にサ行などがうまく発音できなくなります。
また健康にも影響が出てきます。上に書いた通り、上下の噛み合わせがないので、うまく咀嚼できません。消化吸収の1番入り口がうまく機能しないため、栄養吸収にも影響が出てきます。更に噛む度に筋肉バランスがおかしくなり、顎関節症などの発症につながてしまうリスクも出てきます。
このように放っておくと様々な別の問題につながってしまう下顎前突ですが、子どものうちに治療をすることで、症状の悪化を防ぎ、更に骨の成長を促しながら治療することで比較的患者さんの負担を少なく治療することが出来ます。
成人になってからの治療だと、場合によっては外科処置が必要になるケース(骨切り)も出てきます。
放っておくと症状が悪化し、日常生活に大きく影響を与え、健康にも関係する不正咬合なので、出来るだけ早い段階での検査をお勧めしています。