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院長ブログ
2025.5.15
インビザラインなどのマウスピース型矯正装置は診断と治療計画が鍵

こんにちは!メープル矯正歯科の山口です。

インビザラインなどのマウスピース型矯正装置(アライナー矯正装置)での治療は全国的にも日に日に増えてきているようです。メープル矯正歯科でも希望される患者さんが多くいらっしゃいます。

これまで矯正治療は金属のブラケットと呼ばれる矯正装置を歯に装着する方法しかありませんでした。これが進化し、白や透明のブラケットが登場したり、あるいは歯の裏側に矯正装置を着ける舌側矯正なども生まれました。舌側矯正においては世界をリードするほど日本は技術が進み、メープル矯正歯科でも舌側矯正での治療を多く提供してきました。

  

舌側矯正が広がった理由として、矯正治療中に装置が目立たないというメリットが大きくあります。そのため、近年登場したインビザラインなどのマウスピース型矯正装置が広がるのもある意味必然なのではないでしょうか。

今回お伝えしたいのは、こういったマウスピース型矯正装置での治療には診断と治療計画がとても大切ですということです。日本で一番大きな矯正の学会である日本矯正歯科学会や、日本臨床矯正歯科医会でも注意勧告している部分になりますので、少しマウスピース型矯正装置の基本部分から見ていきましょう。

マウスピース型矯正装置は患者さん自身で取り外し可能なマウスピースを、1日20時間以上装着し、少しずつ歯並びを改善していく装置です。基本的に透明な装置なので、治療中に目立たないという大きなメリットがあります。

すでに認知されてきていますが、著しい出っ歯や乱杭歯の治療、顎関節や骨格に問題がある場合にはあまり適していない方法だったりします。

このマウスピース型矯正装置は、お口の状態をスキャンし、デジタルデータをマウスピースを製造するメーカーに送り、治療段階に応じたシミュレーションを基にマウスピースのセットを作ってもらうという流れになります。

今回お伝えしたいポイントがここで、このシミュレーションを確認した際に、歯科医師側がしっかりと正しいかどうかの判断が重要になります。というのも、このスキャナーでは歯の見えている部分の情報はスキャンされますが、歯根と呼ばれる歯茎に埋まっている歯の根っこ部分の状態が反映されないものもあるからです。さらに、人間の成長や歯周組織の健全性、顎顔面領域と歯列の関係、咬合、咀嚼など様々な機能も歯科医師側が考慮する必要があります。そのため、歯科医師が介在しないマウスピース型矯正治療というのも出てきているようですが、この確認ステップがない分とても危険です。

そして実はマウスピース型矯正装置は薬機法で認められている装置ではありません。ほとんどが海外技工物として捉えられていて、保険治療の適応外となります。

海外技工物としてカテゴリーされる分、治療結果においては歯科医師が全責任を負うため、このシミュレーションから本来の歯の移動を予測し、必要に応じて修正を加えていく必要があります。

それには日本矯正歯科学会が『アライナー型矯正装置による治療指針』でポジションステートメントを出しているように、矯正診療に関する専門的な診断能力、治療技能、経験が不可欠です。

矯正治療中に目立たない治療を受けたい、という要望は間違いなく大切な患者さんの願いでありますし、私たち矯正歯科を専門に治療する歯科医としてもその気持ちに応えたいと思っています。

そのため、メープル矯正歯科では、なんでもマウスピース型矯正装置で治せますよ、ではなく、患者さん一人一人の歯根やかみ合わせなどの状態をしっかりと把握し、ブラケット矯正と同レベルの治療結果を安全に提供できるよう心がけています。