BLOG|矯正の本音

矯正歯科に関する正しい知識や情報のご提供、医院の活動のご報告などを連載していきます。

2015.11.24

上顎前突を子供のうちに治すメリット

メープル矯正歯科の山口です。


前回は上顎前突(出っ歯)の原因や弊害について書きました。下顎前突(反対咬合、受け口)同様、見た目だけの弊害ではなく、開口による口腔内乾燥からくる唾液の自浄効果低下、そしてそこからつながる齲蝕(虫歯)、歯周病リスクまでご紹介しました。また、前歯で噛めないことからくる大臼歯(奥歯)にかかる負担リスクについてはなかなか知られていない問題かもしれません。


今回はこれに対して子供のうちに治療することのメリットについて少し書いてみようと思います。

上顎前突の原因の一つ、舌癖からくる場合をまず考えてみましょう。舌の力により上顎前突になっている場合は、たとえ歯並びを治しても舌癖自体を改善しなくてはまた元の状態に戻ってしまいます(後戻り)。できる限り早い段階に治療した方が、原因となっている「癖」を一緒に改善していくことが出来ます。これは指しゃぶりによる上顎前突にも言えることですが、変な癖が身体に染み付く前に改善していきたいですね。




次に骨格性の上顎前突に関してです。上顎と下顎の骨のサイズの違いや位置のずれによるものです。これに関してはヘッドギアなど様々なアプローチがありますが、キーになっているのは骨の成長がまだ止まっていないという点です。子供のうちに治療を開始できれば、成長の進み具合を手助け(骨の成長を促したり、逆に抑制したり)して、上下のアンバランスを整えながら歯並びを改善していくことが出来ます。大人になって骨の成長が止まってしまっている場合、顎の成長を促しながらの治療が出来なくなってしまい、外科的なアプローチや抜歯が必要になるケースが増えてきます。


もちろん大人の上顎前突治療は必ずしも外科手術が必要になるわけではありませんが、今回は子供のうちに上顎前突の矯正治療を受けるメリットを簡単にご紹介しました。その患者さんにとってベストなタイミングで矯正治療を提供出来ればと考えています。

2015.11.20

見えない裏側矯正は虫歯になりやすい?

メープル矯正歯科の山口です。

日本橋という場所柄、見えない裏側矯正(舌側矯正)、マウスピース矯正などの問い合わせを受けることが多々あります。裏側矯正に関しては特に表側矯正(唇側)と違いインターネット上にネガティブな情報が出ていることもあります。

そんな中よく受ける質問の一つ、裏側矯正は齲蝕(虫歯)になりやすいのか?ということに関してお伝えしようと思います。



矯正治療中に齲蝕(虫歯)になってしまうと、場合によっては矯正装置を一度外して、虫歯治療を行ってから再度矯正装置を付けるということも出てきてしまいます。そのため、裏側矯正だけでなく、表側矯正も矯正治療中には丁寧なブラッシングがとても大切になります。



裏側矯正の齲蝕(虫歯)のリスクというのは、物理的にブラッシングしづらいということからきている心配かと思います。確かに裏側矯正は直接目で見ることが出来ず、表側と比べると難しさはあり、プラーク(歯垢)の沈着やプラークによる歯肉炎(歯茎の腫れ)になりますので、注意は必要です。



しかし、一概に裏側矯正の方が虫歯になりやすいかというと実はそうとも限りません。それは唾液による自浄効果と呼ばれる細菌の増殖を抑える効果がある点です。また表側に比べて空気に触れにくいということからも細菌の増殖が表側ほど早くないという点も考えられます。


ただ、先に書いたように表側矯正にしても裏側矯正にしてもブラッシングは不可欠です。そのため専用のブラシ(頭の小さい歯ブラシ、歯間ブラシ)を準備することや、ブラッシング指導(歯科衛生士による歯磨き指導)を必要とします。また、そもそも矯正治療を受けるという時点で叢生(デコボコ、乱ぐい歯、八重歯)など歯並びに問題があり、歯ブラシが届きにくい部位がある方がほとんどです。そのため、歯列が綺麗になることで、歯磨きがしやすい環境となり、矯正治療後の齲蝕リスクが軽減されます。



矯正治療を終えられた患者さんには歯並びと噛み合わせが改善されたということで喜んでいただけますが、実はその後の歯を健康に維持しやすい状態になるということも忘れてはいけません。結果、虫歯や歯周病を予防し、歯の寿命を延ばすことになります。


少し話がずれましたが、裏側矯正ということだけで虫歯の可能性が上がるということは言い切れないと思います。それは唾液による自浄効果も期待できるからです。ただ、表側矯正でも裏側矯正でも矯正治療中のブラッシングは丁寧にやる必要性があります。特に、唾液の自浄作用があっても装置の周りに歯石が付きやすいことがあり、それがまた磨き残しをプラーク(歯垢)の沈着を誘発してしまうことになります。しかし、また、矯正治療を受けて歯並びの改善がなされると、ブラッシングがしやすくなるというメリットも見逃せないポイントです。

何か気になることがあればいつでもお問い合わせ頂ければと思います。

2015.11.02

上顎前突(口唇閉鎖不全による口呼吸)

メープル矯正歯科の山口です。

今日は上顎前突(出っ歯)について少し書いて見ようと思います。

上顎前突とは言葉の通り、上あごが前に出ている状態を指します。「出っ歯」という表現の方がなじみ深いと思いますが、実は単に上顎前歯が前に出ているだけとも限らないのが上顎前突です。

まずその原因から見てみましょう。

①舌癖による上顎前突 舌癖というのは、文字通り舌の癖のことです。舌が外に出ようとする力が強い場合、舌の力によって前歯が前に出てしまうということがあります。空き歯の方に多くみられるもので、歯と歯の間に舌が入り込もうとして、だんだんに歯を押し出していきます。



②指しゃぶりなどの習慣による上顎前突 舌癖のように一見弱い力でも歯は動いていきます。指しゃぶりが永久歯に生え替わるころまで続いている方など、比較的上顎前突になりやすいといわれていま す。指しゃぶりだけでなく、上顎前突の原因を探っていくと爪を噛む癖があったということもあります。



③骨格性による上顎前突 中には骨格性の上顎前突というものもあります。上あごが極端に大きい場合や、あるいは下あごが極端に小さい場合もあります。上下の顎の前後関係のずれにより上顎前突になっているという症例も中にはあります。



このように原因は様々です。そのうえでどういった弊害が起こり得るかを見てみましょう。

①見た目 矯正治療を受けたい理由として一番多いのではないでしょうか。子供の場合だと、これが原因でいじめにあってしまうという話もよく耳にします。

②怪我のリスク 二つ目が怪我のリスクです。スポーツをされている場合、唇を切ってしまうだけでなく、場合によっては歯が折れてしまうという報告もあります。

③虫歯や歯周病のリスク 上顎前突になると口を閉じることが難しくなります(下顎前突の場合も含む)。口唇閉鎖不全と呼びますが、口呼吸が習慣になってきます。口呼吸の場合、口腔 内が常に渇いた状態になります。唾液には細菌の増殖を抑える働きがあり、乾燥した状態になるとその唾液による自浄効果が下がり、齲蝕(虫歯)や歯周病のリ スクへとつながってきてしまいます。



④大臼歯への負担 前歯が噛み合っていない状態が続くと、食事の際に「噛み切る」機能を大臼歯(奥歯)で代用するようになります。大臼歯への負担が長く続くと歯がすり減って きてしまったり、大臼歯で食べ物を噛み切ろうとして、本来の顎の動きではない動きを続けてしまい、顎関節に悪影響を与えることも出てきます。



3つ目と4つ目のデメリットはあまり知られていないかもしれませんが、とても大切なポイントになります。

ひとえに「出っ歯」といってもこの様に原因も弊害も様々です。今回書いたこと以外でも患者さんそれぞれの状態は全く違ってきますので、気になる方は一度矯正専門医に相談してみてください。

2015.10.28

見えない裏側矯正(舌側矯正)が表側矯正(唇側矯正)より費用が高い理由

メープル矯正歯科の山口です。

近年大人の矯正患者さんが増えてきているような気がします。日本橋や銀座近辺でもブラケット(矯正装置)を付けているサラリーマンの方などを目にするようになりました。矯正のイメージとして、若い女性がするものとか、子供がするものいうイメージがあるかもしれませんが、僕自身は、忙しい男性サラリーマンこそ矯正治療が必要と感じています。当院でも歯並びを気にされて来院されるサラリーマンの方がいらっしゃいます。また、実際には気づけませんが、見えない矯正治療である、裏側矯正(舌側矯正)で歯列矯正治療を受けられる方も増えてきているのではないでしょうか?

今日はそんな裏側矯正に関する疑問で、よく耳にする「裏側矯正が表側矯正より高いのはなぜ?」という質問にお答えしようと思います。

この答えは色々あり、もちろん技術的な難しさから値段を高く設定している矯正専門医も多いと思います。表側と違い、実際ワイヤー交換にかかる時間もかかりやすく、また力のかけ方も表側と逆の場合があるなど、経験がとても大切になります。



しかし、大きな理由の一つに物理的に費用がかさんでしまうものがあります。それは「セットアップ模型」と「ジグ」と呼ばれる装置を作成する必要があるということです。表側の矯正治療の場合は、ブラケット装置を装着する際に、ダイレクトボンディングと呼ばれるやり方を多くの矯正医が採用しています。これは、直接、既製品のブラケット装置を歯に装着する方法で、歯の先端からワイヤーの通るスロットと呼ばれる位置までの距離を確認したり、それぞれのやり方で直接接着していきます。そのため、すぐに治療が開始できます。



これに対して、裏側矯正は直接目で見て接着することが出来ません。そのため、あらかじめ歯が並んだ状態の模型を作成し、更にそこに間接的にブラケットを正しい位置に装着するための「ジグ」と呼ばれる装置をオーダーメイドで作成する必要が出てきます。インダイレクトと呼ばれていますが、歯の裏側に矯正装置を取り付けるためのものです。



これらは当然患者さんそれぞれの歯の形とアーチフォームに合わせて作る技工操作が加わるため、装置を装着するまでにどうしても時間を要してしまいます。そして技工代もかかります。そのため、時間と費用がどうしてもかかってしまうということです。



表側でもインダイレクトというやり方を採用している矯正医もいらっしゃいますが、裏側に関してはほぼ100%このインダイレクトというやり方でブラケットを付けることになります。

費用を考えて上顎のみ裏側矯正にして、下顎をクリアの矯正装置を表側につける(ハーフリンガル)という方もいらっしゃいます。審美性と費用の両方を考えて、矯正専門医と相談してみてはいかがでしょうか?

2015.10.11

英語の発音と歯並び

メープル矯正歯科の山口です。

今日は英語の発音と歯並びの関係について少し書いてみようと思います。私自身もそうですが、海外への留学や、転勤で海外に行く方の話をよく耳にするようになりました。最近留学前の学生さんや、転勤、もしくは仕事上英語を使う機会が多いという方からの矯正治療の問い合わせが増えてきている気がします。

今回のテーマ、英語の発音と歯並びに関してですが、このように英語に触れる方が英語の発音をよくするために歯列矯正を受けるケースが増えてきているというお話です。

例えばアメリカでは矯正治療を受けることがだいぶ身近で、ある調査によると約10倍以上もの矯正治療経験者がいるというデータもあるようです。色々な要素が考えられていますが、その一つが「発音」です。

英語の発音の中に「th」の発音がありますが、オープンバイト(開口)や、重度の叢生(デコボコ・乱ぐい歯)だとうまく音が出せません。子供のうちに発音に問題があることで、いじめの対象になってしまうということもよく耳にします。映画俳優のシルベスター・スタローンはもともと英語の発音が悪く、滑舌が悪いということで何十回ものオーディションに落ち続けたというもの有名な話です。



また発音とは違いますが、文化的違いとして八重歯を嫌がるということもあります。以前もお話したかとは思いますが、どうやら海外ではドラキュラを連想させるということから八重歯は好まれないようです。


近年外資系企業に働く方が増えてきたり、海外への転勤、留学をされる方が増えてくる中で、英語に触れる機会が多くなる方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?

日本では一昔前と比べると、大人でも矯正治療を受ける方がだいぶ増えてきているのですが、まだまだ一般的になっていない部分もあります。しかし、日本においては、「見えない矯正」が発展し、舌側矯正(裏側矯正=リンガル)や、審美ブラケットと呼ばれるセラミックやコンポジット(プラスチック)のように白や透明のブラケットが進化してきています。また近年においてはインビザラインのようにマウスピース矯正もだいぶ広がってきました。




このように矯正治療中の見た目に関して心配する日本人にとって歯列矯正を受けやすい環境は整ってきています。英語の発音という観点から噛み合わせ、歯並びの改善を検討してみてはいかがでしょうか?

2015.10.08

コンプレックス第一位:「歯」

メープル矯正歯科の山口です。  

今日は以前朝日新聞デジタルに載っていた記事からご紹介したいと思います。この記事は男女1744名を対象に行ったアンケート調査で、その結果が興味深かったので印象に残りました。

Q.「コンプレックスを感じる身体の部分はどこですか?」
1位:歯
2位:頭髪
3位:お腹
4位:足
5位:鼻
6位:目
7位:胸
8位:眉毛・お尻
10位:体毛

歯と答えたのは何と全体の3分の1にあたる573名。 歯に関しては男女関係なく多くの方がコンプレックスとして捉えているようで、歯並び、虫歯、歯の色などがその理由だそうです。

矯正治療に来られる患者さんの改善ポイントとしては、一言に「歯並び」といってもたくさんあります。叢生(デコボコ・乱ぐい歯)などのように比較的短期間 で治る症例から、上顎前突(出っ歯)や下顎前突(受け口・反対咬合)のように噛み合せからの改善が必要な症例まで多種にわたります。

またコンプレックスの理由に挙げられている虫歯になりづらい歯並びにしたいという患者さんも多くいらっしゃいます。

コンプレックス1位というのは驚きでしたが、一人でも多くの方がコンプレックスを改善して、笑顔で毎日過ごせるようになれたらと思います。

 また歯並びの治す方法としても裏側矯正(舌側矯正)やマウスピースなど、色々と相談に乗りながら進めていければと思っていますので、遠慮なく相談に来て頂ければ幸いです。

2015.09.24

非抜歯矯正と抜歯矯正について

メープル矯正歯科の山口です。
かなり久しぶりの投稿となりました(^▽^;)

今回は非抜歯と抜歯について少し書いてみようと思います。

歯列矯正を考えた際に、色々な心配やわからないことが出てきますが、「抜歯することになるか、非抜歯で治療できるのか」、悩まれる方は多いと思います。



結論から言うと、残念ながらメープル矯正歯科では100%非抜歯ということはありません。安易に「非抜歯で治療します」ということはなく、あくまで患者さんにとってのベストな矯正治療は何かを追求しています。当然できる限り健康な歯を残し、抜歯をしないように治療するようにしていますが、場合によって抜歯をした方が患者さんの長い安定性につながる場合もあるからです。る方は多いと思います。

そもそも抜歯が必要になるケースというのは、歯列弓と呼ばれる歯の並びにおいて、顎が小さいことなどで、十分に歯が並ぶ隙間が確保できないことで起きます。叢生(デコボコ・八重歯)なども歯が歯列弓に入りきらず、前後に出てしまっていることで起こります。特に最近の日本人は食事が欧米化したことにより、顎の成長が十分でないということも言われています。このように十分な隙間を確保できていない状態で、無理やり歯を並べようとすると、表側から見えていない歯茎内の部分=歯根に無理がかかり、安定しないために矯正治療後に後戻りを起こるリスクが出てきます。

非抜歯での矯正治療を行うために、1つキーになるのが子供のうちに矯正治療をするという小児矯正での治療のことです。成長途中の子供の場合、顎の成長を促したり、顎を横に広げることが出来るため、大人と比べて比較的非抜歯での矯正治療がしやすくなります。


しかし大人の場合でも必ずしも抜歯というわけではありません。顎の成長を促すということは出来ませんが、いくつかアプローチ方法はあります。1つはインプラントアンカーと呼ばれるインプラントを固定源にして、大臼歯を後ろ方向へ移動させて隙間を作る方法。あるいは、歯槽骨のサイズを確認しながら歯列弓自体を出来るだけ横に広げる方法などがあります。



子供の顎の成長を促しながら隙間を作る治療、大人の大臼歯の移動、歯列弓を広げる治療など、非抜歯での矯正治療のアプローチはいくつかあります。しかし、前に書いた通り、100%隙間を確保できない場合も人によってはあります。大切なのは、患者さんの年齢、顎の成長度合い、歯の状態などをしっかりと診断した上で矯正治療をすることだと思っています。患者さんそれぞれの顔立ちが違うように、歯の状態は100人いれば100通りの歯並びがあります。しっかりと矯正専門医と相談し、納得のいく状態で矯正治療を始めていただければと思います。