こんにちは。
メープル矯正歯科の山口です。
矯正治療を検討したことがある人の中で、痛みについて懸念される方は少なく無いのではないかと思います。今回は矯正治療の痛みがそもそもなぜ起こるのか、そしてどう対処するのか、ということについてお話していきます。
まずなぜ矯正治療を行うと痛みが起こるのかということを説明していきます。
矯正治療とは、歯に矯正装置(ブラケット)を取り付け、そこに金属のワイヤーを通すことによって治療を行っています。このブラケットとワイヤーから歯の歯根部分に少しずつ力を加えて歯を動かしていくのですが、この時に歯槽骨の中で骨の吸収と形成が繰り返し行なわれています。この様に歯に力を加えたときに個人差はありますが、痛みを感じることがあります。
■対処方法
① しっかりとした診断と治療計画
矯正治療を行う前の準備段階として検査と診断を行い、その結果に基づく治療計画を立案していきます。一人一人不正咬合の状態は違うため、しっかりとした治療計画を立てて、無理な力が掛からないようにゆっくり治療を進めていくことで出来るだけ痛みを和らげられるようにしていきます。
この力加減やエラスティック(顎間ゴム)の強さやサイズなどの選択もある程度矯正治療の経験で判断していく必要があります。無理な力が掛かってしまうと、歯根吸収が起こってしまい、歯の安定性が悪くなったり抜けてしまうという問題が起こります。 また、計画を立てて治療を行っている最中も、予期せぬ動きが出てきてしまう事があります。その時は都度計画を見直して、治療を変更していくことも必要となります。
② 矯正材料の選択
最近では矯正材料も様々なものが出て来ています。
セルフライゲーションと言われる、ブラケットとワイヤーの間に「遊び」を設けた治療を併用することもできます。これはワイヤーから直接伝わる力を弱くすることが出来るので、一般的に痛みが少なくなると言われています。
ワイヤーも形状記憶の合金が出てきたり、サイズがかなり細いワイヤーも発売されてきました。昔はステンレス製の太いワイヤーを少しずつ曲げて使用していましたので、その時と比べるとワイヤーの力も弱く継続的に掛けやすくなってきており、痛みを軽減しやすくなっています。
この様に、痛みを和らげるための選択はいろいろ進化してきています。ただ、痛みを感じるかどうかはその人の感覚によるところがかなり大きくなっています。
どうしても我慢できないときは少し治療期間が延びる可能性はありますがワイヤーの力を掛ける段階を細かく刻む対応も検討していきます。また、始めは少し痛みを感じる人でも、何日かすると慣れて痛みを感じなくなる人がほとんどですので、心配しすぎる必要もないかと思います。
いずれにしても患者さんに合わせて治療を行うことが大切だと思いますので、不安な点などがあれば遠慮なく相談してください。