こんにちは。
メープル矯正歯科の山口です。
今日は矯正治療中の痛みに関して、材料の観点からお伝えしていこうと思います。
矯正治療を受けたいと考えている方が懸念されていることの一つに「痛み」があります。歯を動かすには、歯にブラケットと呼ばれる矯正装置を接着し、そのブラケットに歯列の形をした細いワイヤーを付けて治療していきます。このワイヤーは金属でできているため、歯列の形に戻ろうとします。矯正治療はそのもとに戻ろうとする力を利用して歯を動かしていきます。
一昔前の矯正治療は、このワイヤーの材質がステンレスでできているものしかなく、また技術的にもそれなりの太さがあったため、大きな力を歯に加えていました。そのため痛みが出てしまうということが起きやすかったのです。
近年材質が向上し、さらにかなり細いワイヤーが作られるようになりました。チタンとニオビウム合金でできたワイヤーが登場したあたりからかなり痛みが軽減できるようになってきました。
この合金はもともと宇宙工学で生まれた材質で、とても弱い力で元の形状に戻ろうとする性質を持っています。またその細さは、なんと0.3㎜ほどからあります。
この材質の技術向上は、痛みの軽減だけでなく歯根吸収リスクを下げることにもつながってきました。歯根吸収の原因はさまざま考えられていますが、その一つに必要以上の力が歯周組織に加わることで起きることがわかっています。
この細くて弱い力のワイヤーを、叢生(凸凹、乱杭歯)など不正咬合が激しい矯正治療初期段階で使用することで、痛み、歯根吸収リスクを軽減できるようになったのです。
患者さんによって痛みの感じ方は違いますが、少なくとも一昔前の「矯正治療=痛い」というイメージはだいぶ変わってきている現状があります。
矯正治療期間は年単位の時間が必要になります。その治療中のストレスが少しでも下がるよう、材料、そしてもちろん矯正治療の技術を上げていけるよう毎日治療にあったっています。
心配なことなどがありましたらお気軽に相談頂ければ幸いです。