メープル矯正歯科の山口です。
歯列矯正の全治療期間は、大きく動的治療期間と保定期間に分けることが出来ます。みなさんが初めにイメージする矯正治療は、歯に矯正装置とワイヤーを付けて歯を動かすものではないでしょうか?実は矯正には歯並びを整えた後の保定(後戻りを予防する)装置を装着する大事な期間が存在します。
保定期間はマウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置や、舌側矯正(裏側の矯正・リンガル)などような矯正治療にも必要な期間であり、必ずその期間を皆さん経験されます。もしも保定期間にしっかりと保定装置を付けないと、歯並びが元のように戻ってしまう可能性があります。保定装置は『リテーナー』と呼ばれることもあり、床型リテーナー、マウスピース型や歯の裏側にワイヤーを直接付けるなどいろいろな方法があります。(どのような種類があるか矯正専門の先生やスタッフの方に聞いてみると良いでしょう)
透明マウスピース
固定式リテーナー
床型リテーナー
歯の移動、いわゆる動的治療を終えた後になぜ保定装置を付けなければならないのでしょうか?それは人体の優れた能力が故に起きてしまう副作用のようなもので、『恒常性』という作用があります。簡単に言うと変化の後に元に戻ろうとすることです。例えて言うと、短期間でダイエットを行うとリバウンドしやすいのと同じです。矯正治療も同じで、長年の環境や習慣によって出来上がった状態(歯の位置や舌癖、噛み方)を変化させようとすると恒常性が働き、動的治療終了直後は治療前の状態に戻りやすい状態になります。それを防ぎ、矯正した歯並びの状態を新しい歯並びであると体に認識させる、それが保定期間の大きな目的になります。
動的治療期間は、歯に矯正装置とワイヤーが付いているためいつでも力が働いている状態ですが、保定装置の中には取り外し可能なものもあり、それを選択した場合は患者さん自身でしっかりと保定装置を装着することが重要になりますので、取り外す際は食事や歯磨きが済んだらすぐに装着するようにしてください。
保定装置を使用したら必ず後戻りしないと言い切れませんが、きれいになった歯並びを少しでも長く保つために、保定装置期間がとても重要であることをぜひ知っておいてください。