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CLINIC
院長ブログ
2021.1.19
インビザライン(マウスピース型矯正装置)のチェック事項

こんにちは。メープル矯正歯科の山口です。

今回は、インビザラインを含めたマウスピース型矯正装置についてお話していきたいと思います。

昨年から新型コロナウイルスの流行がなかなか治まらず、不安定な日々をお過ごしの方も居られるかと思います。そんな中で、最近マウスピース型矯正装置が来院回数も減らせて、コロナ禍でも治療がスムーズに出来るといった話を聞くことがあります。ただこのマウスピース型矯正装置は万能なものというわけではありませんので、その特徴を含めてご紹介していきます。

まずマウスピース型矯正装置とは、透明なシートから患者さんの治療前から治療後までのステージを区切った状態のマウスピースをたくさん作成し、一定期間ごとに装着するマウスピースを変更することで少しずつ治療後の形に近づけていくという装置になります。これは厚生労働省の認可が下りている医療機器とは異なり、「海外技工物」というカテゴリーの商品になります。
このマウスピース型矯正装置の最大の利点は、透明で見えにくいということです。また、着脱が可能なため、食事やブラッシングの際には外して、それ以外装着するというった事が出来ます。
ただ、現状のマウスピース型矯正装置では治療においての推奨ラインがありますので、全ての人に使用が進められるというわけではありません。では、どのような点から判断しているのかということも少しご紹介していきます。

・不正咬合の程度
マウスピース型矯正装置は、歯冠全体を覆っているため、ブラケット・ワイヤーなどを使用する矯正治療とは仕組みが異なります。また、その特性から歯を動かせる量や向きに限界があると言われています。そのため、患者さんの不正咬合の状態によってはある程度の所までしか治療が難しいと判断した場合は、あまりお勧めできないことをお伝えすることもあります。

・歯の状態
マウスピース型矯正装置は先程も申し上げたように、歯冠全体を透明なマウスピースで覆ってしまうため、患者さんの噛む力によって思いもよらない反作用が起こることがあります。強く噛むことで圧下(歯が歯茎の中に入っていく動き)が起こったり、てこの原理でその反対位置にある歯が挺出(歯が歯茎から出ようとする動き)したりします。また、歯根の状態をコントロールすることも難しいため、歯根吸収(歯根部分が強い力などで吸収されて短くなっている状態)などがあると治療が困難な時もあります。

・アタッチメントの認識
審美的な観点からマウスピース型矯正装置を選択される患者さんが多いですが、確かにマウスピース自体は透明ですが、患者さんの歯の状態によってはアタッチメントと呼ばれる突起を歯に接着することがあります。出来るだけ歯と同じ色の素材を使用するようにはしますが、完全に見えないということは不可能なため、そこを了承していただく必要があります。

この様に、私たちから患者さんに対してチェックしている項目というのはまだたくさんあります。どの矯正装置にもメリット・デメリットはありますし、患者さん自身が何を最重要と考えるかは私たちも実際に伺ってみないと分かりません。そのため、私たちに出来ることと言えば、きっちりと患者さんの診査・診断を行い、治療の可能性を提示することだと思っています。そのため、ご要望などある場合は、遠慮なくいつでも仰っていただけたらと思います。