こんにちは。
メープル矯正歯科の山口です。
今日は前回の叢生(デコボコ、乱ぐい歯)と空隙(隙っ歯)に引き続き、オーバージェットとオーバーバイトの実態についてご紹介していきたいと思います。こちらも厚生労働省が行った歯科疾患実態調査からです。
■オーバージェット
前歯の前後関係をオーバージェットといいます。通常少しだけ上顎前歯が下顎前歯よりも前に出ています。この上顎前歯が4㎜以上下顎前歯より前に出てくると、麺類を食べるときなど、前歯で噛み切ることが少し難しくなってきます。中には6㎜以上という患者さんもいて、上顎前歯の歯頚部と、下顎前歯の先端で食べものを噛む癖のついてしまっている方もいらっしゃいます。
4㎜以上:71名 (うち27名が6㎜以上のオーバージェット)
(対象12歳~20歳 209名)
約3分の1の方がオーバージェットの数値が高いことがわかります。日本人の場合、上顎前突(出っ歯)の患者さんも多いため、確かにこの数字通りの気がします。上に書いたように、食べ物を噛み切る機能が前歯にあり、それがうまくできない場合他の部分を使って咀嚼しようとします。場合によっては顎を水平方向に動かすことで噛み切ろうとします。これが続くことで顎関節症などにつながるリスクもある為、早めの検査が必要になります。
■オーバーバイト
オーバーバイトというのは上下の噛み合わせの度合いを指します。これもオーバージェット同様、少しだけ上顎前歯が下顎前歯に被さる形になっているのが正常です。原因は様々ですが、下顎が見えなくなるほど深く被さっている患者さんもいらっしゃいます。通常以上に深く被さっている状態を過蓋咬合(ディープバイト)と呼び、逆に被さっていない場合を開口(オープンバイト)といいます。
・ディープバイト
4㎜以上:35名
・オープンバイト
‐0.5㎜以上:9名
‐4㎜以上:3名
(対象12歳~20歳 194名)
ディープバイトと比べてオープンバイトの方が症状としてはわかりやすく、歯列矯正治療を受けに来られる患者さんは多いかもしれません。しかしディープバイトは結構上に書いたように上顎歯頚部に歯が当たり続けるため、歯周病などの様々な弊害へと発展していきます。
矯正治療というのは、顎の骨、噛み合わせ、歯並び、歯の状態など様々な角度から検査、診断していきます。今回のオーバージェット、オーバーバイトもそうですが、これに叢生が加わっているなど、患者さんによっては不正咬合が一つとは限りません。それぞれの状態を正確に判断すること、そしてそれぞれの原因をしっかりと把握することが、矯正治療においてとても大切になりますので、気になる方は矯正専門医に相談してみてください。